【書評】徳島の限界集落から「社会を変える」ビジネスを生み出す。 / 『そうだ、葉っぱを売ろう!』 【徳島県上勝町】

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徳島県勝浦郡、上勝町。恐らく「地域おこし」や「限界集落再生」といった分野で最も知名度が高く、注目されている地域だと思う。

ここは、ITと「地域おこしのカリスマ」の力で、ただの捨てられる”葉っぱ”だったものを「金のなる木」へと変化させ、日本屈指の限界集落再生地域へと駆け上がった場所。

実は以前働いていた学校のイベントでたまたま関係者の方とつながり、日本一周中にもお邪魔することになりました。ものすごく面白いことをやっている地域なので、上勝町で実践されている「葉っぱビジネス」が紹介されている本を読んでみたよ!

 

徹底した現場主義で産業をつくった

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出典:「葉っぱビジネス」の仕掛け人が語る、高齢者活用の重要性 | 月刊「事業構想」2015年10月号

 

上勝町って?

上勝町は、徳島県中心部から車で約1時間。標高100メートルから700メートルの間に大小55の集落が点在している中山間部の地域だ。面積の9割近くが山林で、平坦な場所は少ししかない。

(略)人口は、平成19年(2007年)7月で2049人。昭和25年(1950年)には6356人だったので、57年の間に約3分の1減少した。四国4県の中では「最も人口が少ない町」である。

 

今でこそ大変盛り上がっている地域だけれど、当初は「限界」もいいところだったらしい。そんな場所に本書の主人公であり、上勝町を立て直した張本人である「横石知二」氏が営農指導員として配属されることになります。

そこで地域を回りながら、まず地元の方と顔つなぎをするんですが、いきなり「よそ者」がやってきたということもあって痛烈に批判されることもあったらしい。

詳細なストーリーについてはぜひ本書を読んでほしいんですが、横石氏は父親から「現場の人を大事にせないかん!」とずっと教えられて、徹底した現場主義を貫いたみたいなんですよね。

 

この「現場主義」というのは、地域をつくっていくにあたって最も重要な視点ではないかと思いました。

町をつくっているのは何よりその場にいる「住民」であり、住民をおろそかにしていては改革も進まない。「事件は会議室で起こってるんじゃない!現場で起こっているんだ!」のセリフの強さは今でも残っているし、今後も未来永劫残り続けると思います。

本書では、横石氏がどれだけ地域の改革に時間と労力とを費やしたか・・・について書かれているんですが(もちろん自慢としてではなく、事実として淡々と)、もう凄まじいです。現場主義を貫くために、一旦どれほどの資本を費やしたのかと。。。

 

異常気象で主要産業が壊滅状態へ

気象観測史上2番目(当時)といわれる異常寒波が日本列島に吹き荒れ、局地的な大寒波が上勝の町を襲った。(略)この異常寒波によって、町の主要産業であるミカンの木が、全滅してしまった。

(略)被害面積は全栽培面積の82%に達し、しかもその9割近くが激甚被害。(略)ミカンの果実の減収分と、全滅したことで将来の生産がまったく見込めなくなった樹体被害を合わせた被害総額は、25億円を超えるほどだった。

 

本書では思わず引き込まれざるを得ない壮絶なストーリーが数々と掲載されているんですが、個人的に一番感動したのがこの事件と、そのあとの復活の物語。

ここで莫大な時間を投資して産業を復活、そして年商2億6000万円を生み出す「葉っぱビジネス」へと繋がっていくんですが、立石さんは地を這いずりまくって行動し、これらの成果へとつなげていくんですよね。本当、「すげぇ・・・」という声しか出てこないんですが。

この場所でも徹底した現場主義を貫き通し、新しい提案をすると地域の住人から反対され、とくには暴言の数々を浴びせられるも、「いや、これで地域は変えられる」と野生のカンで改革を進めていきます。

 

 

僕、企業のターンアラウンド(企業再生)の物語が大好きなんですよ。色々と本を読んでみたんですが、地域おこしにはこれらにつながるような改革の物語が多数あるみたいなんですよね。

突然「限界集落」に赴くことになり、改革を始めるも思わぬ打撃を被ったり、内部の人間から猛烈な反対を受けてしまう。それらに屈しそうになりつつも、徹底的な現場主義で泥臭い行動を続けて信頼を勝ち取り、地域を復活させていく。

これは、完全に企業のターンアラウンドと同じですね!(笑) 自分がよく世間でいう「地域おこし」をやろうとは思わないんですが、とにかく読んでいてワクワクします。ついでに「血」も騒ぎます。(笑)

 

莫大な時間を投資して社会を変えた

寒害からの復興期、(略)私はいままでの人生の中でも、一番猛烈に働いた。恐らくそのころは年間4000時間、多いときで4500時間は働いていただろう。(略)とすれば、毎日12時間以上は働いた計算になる。

 

紹介したいところがいっぱいあるんですが、これも地域おこし等の改革には必須だと思う。

それは、「莫大な時間を投下する」ということ。これは他の社会起業でも同じで、プロダクトの差や人員の差はあっても、最終的には「投下した資本(時間)の量」で結果が決まっていくのだと思う。

これは企業のターンアラウンドでも同じで、莫大な時間をつぎ込んで改革されているんですよね。何か社会に「価値」を生み出すには、莫大な時間が必要なのだなとあらためて感じた所存。

 

地域のおばあちゃんに役割を

で、ここまでは散々「限界集落を町おこしするためにはこんな凄まじいことをしなければならないのか・・・!」という冷徹な面を紹介してきましたが、もちろん現場を無視することなく、何より地域のおじいちゃんおばあちゃんの存在を第一に考えられているみたいなんですね。

「地域の方に役割を与えることが重要」という記述があったんですが、やっぱり仕事がないと、人間ボケていってしまうんですよ。それは自転車日本一周で限界集落を回ってみて、痛感したことです。

 

日本を中を旅してみて肌身で実感したんですが、限界集落に住むおばあちゃんってめっちゃ元気です。90歳代になっても元気に畑仕事をしています。

なぜかというと、常に畑を耕す、管理するという「仕事」があるからです。やることがあるだけで、「よし、頑張ろう」と思えるみたい。

最近の若者からすれば「いや、そんな無理に頑張らなくてもいいんじゃない」と思ってしまうこともありますが、お年寄りにはそれがめちゃくちゃ重要みたいですね。

 

というわけで、今回徳島県上勝町の改革物語、『そうだ、葉っぱを売ろう!』を読んでみたので、感想の一部を紹介してみました。

徹底的にビジネス主義を貫くという点に関しては全て共感することはできないものの、持続可能な街づくりをしようと思ったらやっぱり必要だとは思います。

地域おこしをしたいという方、これから地域おこしに何らかの形で携わるという方は、読んでおいて損はないと思います。というか、読んだほうがいいです!

 

 

他にも上勝町に関する本がたくさん出版されてるよ!

この本以外にも、数冊上勝町に関する本が出版されています。

これから確実に日本が直面せざるを得ない問題に直接切り込んでいるので、あらゆる所で取り上げられて本も多数出版しているようです。

下記の本も同様に面白いので、ぜひ見てみて下さい。

 

 

では!

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